捨てられ幼女は最強の聖女でした~もふもふ家族に拾われて甘やかされています!~
 粥を作ってくれると言ってくれた人は、女性かと見紛うほどに美しい。クリーム色の肩口まで伸ばした髪には色とりどりのメッシュが入っていて、彼の華やかな雰囲気を引き立てている。
 彼らはすべて獣人だった。黒髪の男性は犬科、茶髪の少年は猫科、クリーム色の髪の男性は鳥類の特徴を持っている。
「えっと……? えっと……?」
 どうやら、死後の世界というのは私の勘違いだったようだ。状況はわからないが、私は彼らに助けてもらったらしい。ならば今、口にするべきはお礼だろう。
 しかし、妹以外の人とまともに会話すること自体が久しぶりだった私は、はくはくと口を動かすことしかできない。
 ――言葉がうまく出てこない……。
「うう……」
 ――きっと、ローゼマリーだったら百点満点の挨拶をするんだろうけど。
 あまりにも自分が不甲斐なく感じて唇を噛みしめる。
 すると、途端に男性たちの顔が引き攣った。
< 32 / 56 >

この作品をシェア

pagetop