捨てられ幼女は最強の聖女でした~もふもふ家族に拾われて甘やかされています!~
「おっ……おお!? どうした! おい、ヒューゴ。お前なにかしたのか!」
「オレはなにもしてないッスよ!? ヴィルハルト兄ィの顔が怖いからじゃないッスか!」
「そうよ、そうよ。小さな女の子からしたら、その仮面は恐怖でしかないわ!」
「シリル兄さんまで!? 少女よすまない。私の顔が怖いばかりに……そうだ、腹を切って詫びよう。わが故郷ではこれを〝ハラキリ〟と言って謝罪の代わりにするんだ!」
「お、お腹!?」
 とんでもないことを言い出した犬獣人の青年――ヴィルハルトに、猫獣人のヒューゴが慌てて止めに入る。
「ちょ、ヴィルハルト兄ィ、内臓が床にこぼれたら面倒なんでやめてくれないッスか!? 誰が掃除すると思ってんスか。勘弁してくださいよ~。ねえ、シリル兄ィ」
「そうよ、そうよ。悶え苦しむアンタの暑苦しい顔なんて、この子も見たくないわよ!」
「む? そうか。それはいかんな」
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