奪って、浬くん
きみに、コクハク
♤
「すき......っ、」
────ぽろり、と溢れた言葉は
心のなかで呟いたつもりだったもので。
「(や、っちゃった.....っ)」
はっと口を押さえても、もう遅い。
おそるおそる顔を上げると、キョトン顔の────幼なじみのすがた
七和 浬(ななかわ かいり)、わたしの幼なじみ。
「なこ、」
「っごめんなさ....っ、」
....あぁ、やってしまった
伸ばされた手を振り払って、わたしは浬くんの部屋を飛び出したのだった。
< 1 / 22 >