奪って、浬くん
「っぅ、だって.....。浬くんのこと、取られちゃうっておもって。こわかったの.....っ」
自分ではなんにも行動していないくせに、取られるのはいやなんて、ずるいってわかってるよ。
....,だけど、浬くんのことすきな気持ちは、だれにも負けない自信があるの。
ずっとずっと、すきだから。
「ばかだな、なこ」
「わ..... っ、」
ぎゅ、とあたたかい腕に抱きしめられる。
やさしく髪を梳いて、わたしの頭を撫でる浬くんは、まるで安心していいよ、と言ってくれているようで。
「おれにはなこがいるからね。他の子なんていらねーの」
浬くんは、すぐそうやって''トクベツ''を意識させるの。
浬くんにとっては何気ない言葉でも、わたしはばかみたいに期待させられる。