奪って、浬くん



つらいの、に.....。



「おれとのキス、なこはいやだった?」



耳元でささやかれて、じわっと頬が熱をもつ。


なんでここにいるの、なんでキスしたの.....って、おもってるはずなのに。


心は正直で、ぜんぜん拒めない。


浬くんに触れられてうれしい....って、奥底ではおもってるんだもん。



「....や、じゃない」



至近距離で絡み合う瞳が、ぐらりと揺れる。


熱の籠ったブラウンに、捕らわれる。



「浬くんになら、なにされてもいい」



浬くんの首に腕を絡めて、ぎゅっと抱きついた。


引き寄せて、ささやく。



「だいすき.....っ、」



ぐらんとバランスを崩した浬くんが、わたしの方に倒れこんだ。


そのまま、わたしの横に両手をついて──



「へ、え.....?浬、くん?」


「やっと言ったね、なこ」


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