奪って、浬くん
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わたしと浬くんのカンケイを表すとしたら、''幼なじみ''がふさわしい。
浬くんにとってわたしは、ただの幼なじみで。
わたしにとって浬くんは.....すきなひと。
────わたしは、小さい頃から浬くんに片思いをしている
小さい頃から、トロくてドジだったわたしを、やさしく守ってくれた浬くん。
『うぅ.....っ、ひっくっ』
『ほら、なこ。おいで』
わたしが泣いていたら、かならず抱きしめて、そう言ってくれた。
その体温と、言葉に、わたしがどれだけ救われていたかなんて、浬くんはきっと、しらない。
わたしがどれだけ、浬くんのことがすきなのか......、しらない。
「でも、言えてよかったのかな.....」
10年間抱えこんできた気持ちは、あまりにも大きかった。