奪って、浬くん
ぎゅう、と心臓が絞られるみたいに、いたくて、くるしい。
このいたみに、わたしはいつ慣れることができるんだろう。
.....きっと、むり....だなぁ。
おぼつかない足取りで、わたしはひとり家に帰った。
わたしの部屋から隣を見上げれば、真っ暗な浬くんの部屋。
まだ、かえってきてないんだ.....。
下がっていた気持ちが、また落ちていく。
浬くんがコクハクしてき女の子に『おれ、きみにキョーミないから』とばっさり断るというハナシは、校内でも有名。
そのハナシを聞くたびに、よかった....と安心してしまう自分が、情けなくて、弱くて、きらいだ。
浬くんに彼女ができたら、わたしはどうなるんだろうって、考えるだけでこわい。
浬くんとの''あたりまえ''な日々が簡単に壊れてしまうかもしれないなんて、考えたこともなかったの。