奪って、浬くん
「浬くん、おそい....な」
あれから30分経っても、浬くんは帰ってこない。
もしかして.....と、わるい想像が広がっていく──と
「っあ、」
明かりが灯った、隣の部屋。
浬くん、帰ってきた.....!
いてもたってもいられなくなったわたしは、窓をあけて、呼んでみる。
「浬くんっ....!」
「....あ、なこ」
すこし大きい声で呼んでみれば、ふわりと顔を上げた浬くんが、外に出てきてくれた。
「あ、あのね、えっと.....っ」
「ん、焦ってどしたの?」
首をかしげる浬くん。
会えたのはいいけど、どうしよう.....。
「すう、がく......っわかんなくて。教えて、ほしいです」
迷ったあげく、出てきたのがコレだ。
....ちがうの、コクハクのこと、聞きたいのに。
「いーよ。おれの部屋でいい?」