奪って、浬くん



浬くんはいつも、ばかなわたしにもわかりやすく、丁寧に教えてくれるから。


「あっ、だからn=3になるの.....?」


「そ。せーかい」


ぽんぽん、とやさしく手のひらで頭を撫でてくれた。


顔をあげると、ちいさく細められた瞳と目が合って。


──ドクン、と脈が鳴る


やさしい表情.....、わたしがいちばん、すきなカオ。


浬くんのこんな無防備なすがたは.....みるのは、わたしだけがいい。



「──コクハク、どうだった.....?」


気づいたら、口が動いていた。


半分祈るような気持ちで見上げると、ふっと緩められた口元。


「どーだったとおもう?」


余裕なすましガオにすらときめくなんて、重症すぎるよ.....。



「それを、わたしが聞いてるの..... っ」


「じゃあなこはさ、どーしてほしい?」


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