ウサギとリンゴの物語
会場内の全員が音の鳴った方へ振り返り視線を向けた。
開けられた扉の真ん中には、結婚式には不似合いなラフな格好の男性の姿。
なんだ、どうしたと会場がざわつき始める。
「由里香!」
騒めきをかき消すような大きな声でその男性が花嫁の名前を呼んだ。
男性の元へスタッフが駆け寄り外へと追い出そうとするが、その包囲網を振り切って男性は花嫁のいる牧師台へ駆け寄った。
そしてその手は真っ直ぐ伸びて花嫁の腕を掴む。
その光景にチャペル内がますます騒つく。
「かっちゃん……」
「おい!何してるんだ!」
花嫁がその男の名前を呟くとほぼ同時に花婿が剣幕で問いかける。
ところが男性は花婿の勢いに怯むことなく睨み返すと、花嫁の腕を引き走り出した。
「待て!」
花婿が咄嗟に伸ばした手は花嫁のベールを掴んだが、それはスルリと外れてしまう。
「……ごめんなさい、ごめんなさいッ!」
花嫁はその言葉だけを繰り返して言うと引かれた手にギュッと力を入れて、男性と共にバージンロードを駆け抜けて行く。
開けられた扉の真ん中には、結婚式には不似合いなラフな格好の男性の姿。
なんだ、どうしたと会場がざわつき始める。
「由里香!」
騒めきをかき消すような大きな声でその男性が花嫁の名前を呼んだ。
男性の元へスタッフが駆け寄り外へと追い出そうとするが、その包囲網を振り切って男性は花嫁のいる牧師台へ駆け寄った。
そしてその手は真っ直ぐ伸びて花嫁の腕を掴む。
その光景にチャペル内がますます騒つく。
「かっちゃん……」
「おい!何してるんだ!」
花嫁がその男の名前を呟くとほぼ同時に花婿が剣幕で問いかける。
ところが男性は花婿の勢いに怯むことなく睨み返すと、花嫁の腕を引き走り出した。
「待て!」
花婿が咄嗟に伸ばした手は花嫁のベールを掴んだが、それはスルリと外れてしまう。
「……ごめんなさい、ごめんなさいッ!」
花嫁はその言葉だけを繰り返して言うと引かれた手にギュッと力を入れて、男性と共にバージンロードを駆け抜けて行く。