幼なじみは一途に絡まった赤い糸をほどく◆おまけのお話追加しました◆
「勝手に想像して落ち込んで、そういうのって相手に失礼だなってその時思ったの。小春ちゃんももしかしたら何か勘違いしてるかもよ?向井さん真面目そうだもの。一度話し合ってみたら?」

「でも、聞くのが怖いです」

聞いたところで、やっぱり政宗には別に彼女がいたなんてことになったらそれこそ立ち直れない。想像して小春の顔がサーっと青くなる。

「もっとポジティブにいこうよ。もし本当に別に彼女がいたら、おにぎりにハバネロでも入れて渡してやればいいのよ。とびっきり辛いやつね。それでやっつけるってのはどう?」

「ハバネロ?!あはは、そうですね、そうします。実里さんありがとう」

目尻に溜まってしまった涙を拭いながら、小春は明るく笑った。それを見て実里は気合い十分に力こぶを作ってみせる。

「可愛い義妹を傷つけるやつは許さないわ」

「頼もしい~!実里さん大好き」

「私も小春ちゃんが大好きよ!」

二人でクスクスと笑っていると、ふいに視線を感じて顔を上げる。そこにはめちゃくちゃ不満そうな顔をした優也が覗いていた。

「俺も一緒にしゃべりたい」

「お兄ちゃんは店番してて」
「優也は店番してて」

小春と実里の言葉が被り、二人はまた顔を見合わせて笑う。優也だけが不満げに口を尖らせながら、とぼとぼと店へ戻って行った。
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