幼なじみは一途に絡まった赤い糸をほどく◆おまけのお話追加しました◆
実里に押しきられる形で帰る支度をさせられた小春は、本当に政宗が来てくれるのか緊張で落ち着かないでいた。

だがすぐに血相を変えた政宗が飛んで来て、何だか申し訳ない気持ちになってしまう。

「小春、気分が悪いのか?頑張りすぎだ、休んだ方がいい。いくら完治したとはいえ心臓に負担をかけたらダメだろう?」

「……うん、ごめんなさい」

胸に込み上げるものがあり、小春は俯いてごまかした。

いつもながら政宗が助手席のドアを開けてくれる。当然ながら女性は乗っていなかった。
大人しく乗り込んだ小春だったが、内心穏やかではない。

(ここに座っていた女性は誰?)

モヤモヤした気持ちが膨らんで押し潰されそうになる。意を決して聞こうと政宗を見た小春だったが、その視線に気付いた政宗はいつも通り甘い眼差しを小春に向けた。

とたんに小春の涙腺は崩壊した。
ぶわっと溢れ出た涙に、政宗は慌てる。

「小春?ちょっと待って、もう家に着くから」

政宗は近くのコインパーキングに車を停めると、すぐに小春を車から降ろした。
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