幼なじみは一途に絡まった赤い糸をほどく◆おまけのお話追加しました◆
このまま身を任せて全てを政宗に捧げたい。

そう思った小春だったが、政宗が胸のボタンを外そうと手を掛けた瞬間、反射的に両手でそれを食い止めた。

「嫌?」

「…………」

政宗は無理強いはせず、すぐにボタンから手を離す。小春は罪悪感でいっぱいになり唇を噛んだ。

嫌じゃない。
もっと政宗に触ってほしい。
だけど……。

「……ごめんなさい」

「別に謝ることじゃないだろ。小春が嫌がることはしないよ」

どこまでも優しい政宗に小春の胸はさらに締め付けられる。いつだって小春を尊重してくれ、気遣ってくれる。その想いに応えたいのに、反射的ではあるが政宗を拒否してしまった。

「何で泣くの?そんなに嫌だった?ごめんね」

「……違う。そうじゃなくて。……政宗くんが優しすぎるから。……私のこと嫌わないで」

「嫌わないよ。小春が良いって思えるまで何もしないから大丈夫だよ」

政宗はそっと小春の目尻を拭う。
その手付きすら優しくて、小春の涙は止まらないでいた。

「だって政宗くん、絶対に幻滅するから」

「どうして?」

「だって……。私の体、綺麗じゃないから。見せたくない」

悲痛な表情の小春の瞳からはみるみるうちに溢れんばかりの涙が溜まった。
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