幼なじみは一途に絡まった赤い糸をほどく◆おまけのお話追加しました◆
真ん中にある少し浮き出た茶色がかったピンク色の線。それが心臓の手術痕だ。

そっと触れると小春の体がビクンと揺れた。
その線に沿って唇を這わすと、小春の口から吐息が漏れる。

「痛い?」

「ううん、痛くない」

「すごく綺麗だよ、小春」

「嫌じゃないの?」

「嫌なわけないだろ。小春の全てが愛しくてたまらない。いっぱい愛したい。小春が俺しか見えないくらいに」

「私は政宗くんしか見えない。だけど、恥ずかしいよ」

涙でぐしゅぐしゅになった頬を染めながらも、小春は胸を隠そうとした。だが政宗が両手を絡ませてそれを阻止する。

「そんな小春も可愛い。もっと見せて」

「ひゃっ」

「好きだよ、小春」

「もっといっぱい言って」

「愛してる」

ぶわっと体の芯が疼いた。
小春の吐息が漏れるたびに政宗はキスの雨を降らせ、止むことはない。ずっとこのまま肌の温もりを感じていたいとさえ思った。

二人は今までのすれ違った時を取り戻すかのように、濃密で甘い時間を過ごしたのだった。
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