幼なじみは一途に絡まった赤い糸をほどく◆おまけのお話追加しました◆
「仕事!仕事は?」

「小春は休んでいいんだよ」

「私のことより政宗くんのこと!」

おにぎり屋でしか働いたことがない私は、会社に遅刻するとどうなるか知らない。めちゃくちゃ怒られたり減給されたりするのだろうか?

私の焦りとは裏腹に、政宗くんは冷静にスマホをチェックする。

「幸い今日は会議も商談もない。有給休暇は死ぬほど余ってる。今日くらい休んでもバチは当たらないんじゃないかな?」

「そうなの?」

「……まあ、社長に嫌味くらいは言われるかも」

「ええっ!」

社長に嫌味って、それはヤバイのでは……?
だってそれって政宗くんの進退に関わったりしない?

「気にしてくれてありがとう」

政宗くんは優しい眼差しで私の頭を撫でる。少し触れられるだけでキュンキュンしてしまうし、仕事なんか放ってこのまま微睡みたいなんて思ってしまう。ああ、社会人失格だ。

「小春は……」

「うん?」

「俺が今から仕事に行ってもいいの?」

「…………」

ずるい。
政宗くんはずるいよ。
だってしっかりと私を抱きしめながらそう囁くんだから。
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