幼なじみは一途に絡まった赤い糸をほどく◆おまけのお話追加しました◆
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小春の手術も無事に終わり、予定どおり退院もできた。残りの夏休みはリハビリがてら家で療養だ。

「宿題が、ヤバイ!」

頭を抱えた小春に優也はうむと考える。

「中三かぁ。俺では教えられないな」

さも当然かの如く頷く優也に、小春はガックリと項垂れる。入院しても夏休みの宿題は丸々ある。入院した分だけ引いてくれるわけではない。それに受験生だ。

「お兄ちゃん教えてよー」

「読書感想文くらいなら手伝ってもいいよ」

「それはもう終わったし」

思い出されるのは政宗との約束。
また会いに来る、受験勉強も見てあげると言われ喜び浮かれたのに、あれから全然来てくれていない。もしかして自分から頼まないと来てくれないのだろうか。だけど頼むのは何だか勇気がいって、小春はじれったい気持ちでウズウズしていた。

「あーあ、政宗くんとか来てくれないかなぁ?」

小春はちらっと優也を見る。
だが優也は小春の心など察してはくれず、呆れたため息をついた。

「バカ言ってないで頑張れよ」

「……はーい」

小春の不満げな声は虚しく抜けていった。
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