幼なじみは一途に絡まった赤い糸をほどく◆おまけのお話追加しました◆
そんな小春に更に追い討ちをかけるかのように、夏海は少し声のトーンを落として言った。

「それでさ、胸触られてさ、エッチしそうになっちゃった」

「っっっ!!!」

声にならない悲鳴を上げて、小春はゆでダコになった。この場合、当事者である夏海が照れるべき場面であるはずなのに、聞いているだけの小春の方が恥ずかしさで逃げ出したくなっていた。

「す、すごいね、夏海ちゃん」

「いや、なんていうか、やっぱりちょっと衝撃だったよね。初めて男の人に裸見られるのはさ、勇気いるっていうか」

「私、無理……」

小春は両手で自分の体を抱きしめた。
ぺっちゃんこの胸は高校生になってもさほど大きくなっていない。特別色が白いわけでもないし、何より胸に心臓の手術の痕がある。手術後に比べたら多少薄くなった傷痕だが、この先綺麗に消えることはないだろう。それに来年にはもう一度手術が控えていて、さらに傷がつくのだ。

そんな自分の体を、いくら好きな人の前でも見せることができるだろうか。
いやそれよりも、この傷を見た相手の方が幻滅するのではないか。
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