幼なじみは一途に絡まった赤い糸をほどく◆おまけのお話追加しました◆
今でも政宗は小春のことを気遣い心配してくれる。来年にはもう一度手術が控えていて、そのことを知っているからか、いつも優しく励ましてくれるのだ。

それは小春にとって嬉しくもあり切なくもある。

優しくされると期待してしまうからだ。フラれた身なのに、もしかしてまだチャンスがあったりするのではないか、そんな淡い期待を抱いてしまいそうになる。

もしもこのままずっと政宗のことが好きで、政宗もいつか小春のことを優也の妹ではなく一人の女性として見てくれる日が来るかもしれない。恋人同士になるかもしれない。

そしたら、政宗とキスだってエッチだってするかもしれない。

そこまで考えて、小春ははっと我に返り、頭をブンブンと振った。勝手な自分の妄想で、身体中が沸騰しそうになる。

「どうしたの?」

「な、なんでもないっ!」

夏海の怪訝そうな問いに、小春は慌てて首を横に振った。そして自分の胸の辺りをぎゅっと押さえた。
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