幼なじみは一途に絡まった赤い糸をほどく◆おまけのお話追加しました◆
とはいうものの、政宗の気持ちは複雑だ。
小春の心臓を治してやると言いながら、自分が医師になる前に小春は手術を受けた。それだけでもう自分の気持ちがぶれているのに、尚且つ手術を勧めなくてはいけない。

自分の知らないところで小春はどんどん先へ行く。医療も日に日に進化している。

だからこそ、今手術をしなくてはいけない。
それが小春の主治医の最善の選択であり、小春のためである。

「はー。重いな……」

政宗は誰に言うでもなく呟いた。
自分の気持ちを吐き出すところがない。というより、吐き出しかたがわからないといった感じだった。

それでも今、政宗がすべきことは、小春に手術を勧めることだ。自分の気持ちは押し殺し、小春の体を最優先させるべきなんだと理解した。

理解することと納得することは違うということに、政宗は気づいていなかった。
いや、気づかないようにしていただけかもしれない。
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