幼なじみは一途に絡まった赤い糸をほどく◆おまけのお話追加しました◆
***

突然の政宗からの誘いに、小春はとんでもなく浮かれていた。

「小春ちゃん何かいいことあった?」

「えっ?」

「何かずーっとニコニコしてる」

夏海の指摘に、小春は思わず両手で頬を押さえた。

「実はさ……」

「うん?」

「好きな人からパンケーキ食べに行かないかって誘われたんだ」

「ええー!デートじゃん!」

思わず声を上げる夏海に、小春はしーっと人差し指を立てる。そして顔を赤らめながら否定した。

「違う違う。一人では入りづらいから着いてきてって」

「いやいや、それはただの誘う口実でしょ」

「政宗くん真面目だから、本当に入りづらいんだと思う」

「ほほーう」

夏海はニヤニヤとしながら頬杖をついた。

「好きな人、”まさむねくん”って言うんだ~。なるほどね~」

「はっ!やだっ、言っちゃった」

小春は顔を真っ赤にして机に突っ伏す。

「いいじゃん、いいじゃん。格好いい名前。伊達政宗みたい。……上手くいくといいね!」

恥ずかしがって顔を上げられない小春に、夏海は何だかむず痒い気持ちになった。同じ高校生なのに、小春は夏海よりも純粋で真っ直ぐだ。それが羨ましいような恥ずかしいような、でも素直に応援したくなるものだった。
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