幼なじみは一途に絡まった赤い糸をほどく◆おまけのお話追加しました◆
「……受けなきゃダメ……だよね?」

「そうだね。俺は小春のことが心配だから、手術は受けるべきだと思うよ」

とても優しい口調なのに、小春には刃物で刺されたように胸にぐさりと響く。
本当は、“俺が医者になるまで待ってほしい”なんて言ってくれないかなと、そんなアニメやドラマみたいな展開を期待した。それが二人の約束なんだと、勝手に思っていた。

でも今、その約束は脆くも崩れ去ったのだ。

(政宗くんは約束忘れちゃったの?)

聞こうにも、勇気がなくて聞くことができなかった。込み上げてくる涙をぐっと堪え、少しばかりの抵抗をする。

「……じゃあ、政宗くんがご褒美くれるなら、手術受ける」

「うん?何がほしい?ケーキでも大福でも買ってあげるよ」

小春は首を横に振った。

「ものはいらない。政宗くんが小春のこといっぱい褒めてくれるなら、手術する」

「もちろん褒めるよ」

「いっぱいだよ」

「わかった」

「あと、パンケーキもまた食べに来たい」

「わかった。約束だ」

政宗は大きく頷いた。

ああ、軽々しく”約束だ”なんて言わないでほしい。また期待してしまうではないか。

悔しいのに、でも少し嬉しく、小春は自分でもよくわからず変な気分だった。
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