幼なじみは一途に絡まった赤い糸をほどく◆おまけのお話追加しました◆
***

政宗と優也は、久しぶりにゆっくりと話す機会を得た。
最近は政宗は大学、優也は仕事と、おにぎり屋で顔は合わせるものの腰を据えて話すことはほとんどなかったからだ。

「忙しいのに悪いな、政宗」

「優也こそ、今日は店はいいのか?」

二人は近況を報告し合い少し談笑をしてから、突然優也が真剣な顔になって言った。

「今日はちょっと相談があって……」

「うん?」

珍しいなと思いながら、政宗は目の前のコーヒーに口をつける。

「小春の事なんだけど……」

ごくっと飲んだコーヒーは思ったより苦く、政宗はカップを置いて優也を見た。

「……小春がどうかしたのか?」

「手術痕を気にしているみたいなんだけど、この先ずっと消えることはないのかな?」

「もしかして腫れたりしている?炎症が起きているなら一度診てもらった方がいいと思うけど」

「いや、俺も見た訳じゃないからよくわからないけど、そういうのじゃなくて、何て言うのかな、何かこう女子的なやつ」

「女子的な?」

政宗はよくわからないといった顔をした。

「政宗、女心もうちょっと分かってくれよ」

「は?え?失礼な」

図星をつかれ政宗は目をそらす。
温厚で優秀な政宗は一見完璧に見えて、実は女心には疎い。唯一の欠点であり逆にそれがギャップ萌えとしてモテていることに優也は気付いていた。
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