幼なじみは一途に絡まった赤い糸をほどく◆おまけのお話追加しました◆
「ほんと政宗って完璧だよな」

「何が言いたいんだよ、優也は」

「いや?モテて羨ましいって思っただけ」

「意味がわからないけど?」

「昔からそうだよ、政宗は。引っ越しするときだって告白されたくせに気づかないし。麻美ちゃん泣いてたぞ」

「……昔の話だろ」

「ほら、その顔は今まで気づいてなかっただろ」

「うるさいな、今は小春の話だろ」

痛いところを突かれ政宗は眉間にシワを寄せる。確かに政宗は自分でも恋愛のいろはには疎い気がしていた。思い起こせば、もしかしてあれは告白だったのではと思い当たることも何件かあり、思わずこめかみを押さえた。
優也は軽く笑いながら、まあまあと手でいなし話を続ける。

「それでだ、小春が手術痕が消えないことを気にしているんだ。一生消えることはないのかな?」

「薄くはなっていくだろうけど、消えるとなると難しいかもしれないな。小さい傷ではないから。でも普段は服で隠れるだろう?」

「政宗~、マジでもうちょっと気を利かせてくれよ。可愛い水着が着れないんだと」

言われてようやく気付く。
確かに普段は服に隠れて見えないが、水着はもちろんのこと、胸の辺りが大きく開いた服を着ただけでも手術痕は見えてしまうかもしれない。
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