幼なじみは一途に絡まった赤い糸をほどく◆おまけのお話追加しました◆
優也と実里の結婚式は厳かに進んでいき、幾度となく二人の素敵さに感動を覚えた。

その傍らで、小春の胸はざわざわしている。

(政宗くんが結婚するなんて。嫌だな)

頭の中はそればかりだ。
優也や実里は知っていたのに、自分だけが知らなかったこともショックだった。政宗とは食事に行ったりもするけど、そんな話はまったく聞いていない。むしろ女性の影が見えたことがない。

(でも政宗くんだってもういい歳だし、彼女くらいいたっておかしくないよね。そりゃそうだよね……)

そう自分を納得させようとするも、このチャペルで政宗がタキシードを着て誰だかわからない花嫁に微笑みかける想像をしてしまうと胸が張り裂けそうになる。

(私は何回政宗くんに失恋すれば諦められるんだろう……)

何度も諦めようとした。
その度に政宗の優しさにほだされてずるずると一途に想い続けている。頭ではきっといつか終わりが来ると思っているのに、現状に甘えているのだ。

(当たって砕ける覚悟で最後に告白する?そうしたら自分の気持ちにも決着がつくかも?)

政宗が結婚する前に、自分の気持ちとも決別したい。スッキリさせて、次に進みたい。
言うなら今しかない。

小春はぐっと決意の拳を握った。
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