幼なじみは一途に絡まった赤い糸をほどく◆おまけのお話追加しました◆
小春は政宗を追いかけるため走った。
今日は絶対に政宗に想いを伝えるのだ。
今言わないと政宗は結婚してしまう。
そうなったらもう想いを伝えることはできなくなる。

これで最後にする。
政宗への想いを断ち切る。
そう、決めたのだから。

政宗は歩くのが速く、もうすっかり見えない位に遠い。いつも小春と歩くときは小春の速さに合わせてくれていたんだと、改めて気付かされた。

心臓の手術をしてから走れるようになった小春だが、子供の頃から運動をしてこなかっただけあり走るのは遅い。一生懸命走ってもテロテロとした走り方でまったく進まずただ息が切れるだけだった。

「政宗くん!政宗くん!」

はあはあと息を切らす小春はとうとう立ち止まった。駐車場まではすぐだと思っていたのに、走ると疲れが先に来てとても遠く感じられる。
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