幼なじみは一途に絡まった赤い糸をほどく◆おまけのお話追加しました◆
「政宗……くん……」

小春が立ち止まって肩で息をしていると、前から血相を変えた政宗が走ってきた。

「小春!大丈夫か?何で無理して走るんだ」

「だって、政宗くんと帰りたいんだもん」

「ちゃんと待ってるから大丈夫だよ。もう話はいいのか?」

「いいの。私は政宗くんと帰りたい。迷惑?」

「いや、最初から送っていくつもりだよ」

紳士的な政宗はそのまま小春をエスコートし、車の助手席のドアを開けた。小春が乗り込んだのを確認すると、ゆっくりとドアを閉める。

政宗の車に乗るのは始めてではない。
食事に行くときや引っ越しのとき、いつも政宗の車に乗せてもらっていた。だけどもしかしたらここに乗るのももう最後かもしれない。そう思ったら急に切なくなり、小春はシートを撫でたり内装を目に焼き付けようと視線を動かした。今まで何とも思っていなかったけれど、改めて見ると高級そうな車だ。
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