幼なじみは一途に絡まった赤い糸をほどく◆おまけのお話追加しました◆
「ねえ、政宗くん。今はどんな仕事をしているの?」

「医療品を開発する会社を立ち上げたんだ」

「えっ!社長さん?」

「いや、社長は直己で……。直己は同級生なんだけど。俺はその補佐だよ。上に立つより裏から支える方が向いているからね」

「すごいね。雲の上の人だ」

「それを言うなら優也だって社長じゃないか。それを支えてるのは小春だろ?立場は一緒だよ」

「いや、天と地ほどの差があるよ」

政宗はこんな高級車に乗っているのに、小春は車すら買えないくらいのお給料だ。立場が一緒などと、まったくもってありえない。改めて、政宗は優秀なんだなと実感した。

横目でチラリと政宗を盗み見する。
長く伸びた腕がハンドルをしなやかに掴み、真剣に前を向いている姿がとても凛々しい。ずっと見ていたいなと思った。

「大丈夫?」

「ん?何が?」

「さっき息切れてたけど」

「平気。運動不足で上手く走れなかっただけだもん」

「あまり無茶をするなよ」

「うん、ありがとね」

そんな心配そうな顔をしないでほしい。
すごく気遣ってくれてるんだと勘違いしてしまう。胸が締めつけられてしまう。
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