幼なじみは一途に絡まった赤い糸をほどく◆おまけのお話追加しました◆
小春はぐっと唇を噛んだ。
そして密かに息を大きく吸い込む。

「ねえ、政宗くん。……結婚するの?」

「…………」

政宗の無言は肯定だと瞬時に悟った小春は、そのまま捲し立てるように言葉を紡ぐ。

「政宗くんかっこいいからなー。ちゃんと奥さん紹介してね」

告白をするつもりだった。
気持ちに決別するつもりでいた。
だけどいざ政宗を前にするといい子でいたい自分がいて、小春は理解のあるふりをしてしまう。にこりと微笑んだつもりだったが、はたしてちゃんと笑えていたかはわからない。

しばしの沈黙の後、政宗はゆっくりと口を開いた。

「…………小春は」

「うん?」

「小春はそれでいいの?」

「え?」

「俺が結婚してもいいの?」

「それは…………」

答えに困って小春は黙り込んだ。

”政宗くんが結婚したら嫌だ”

心の中ではそう叫んでいたが、それを声に出すことが躊躇われた。もし言ってしまったらどうなるんだろう。それよりも、おめでとうと大人な対応をしたほうがいいだろうか。
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