拾った宰相閣下に溺愛されまして。~残念イケメンの執着愛が重すぎます!~
さて、この男、エリアスを拾ってしまってから早7日が経とうとしている。その間、なんと彼は毎日、贈り物である一輪の薔薇とともにグレダの酒場を訪れていた。
最初に来たのは、フィアナの家で目覚め、衝撃の愛の誓いを口にしたその日の夜。
いつも通り店を開け、常連が入って賑わい、最初の波が終わりかけたちょうどその頃。上から下までばっちりと『宰相』といういで立ちに固めたエリアスが、ばばんと正面扉から来襲したのである。
〝エリアス・ルーヴェルトと申します。昨夜、お嬢様にこの身を救っていただいた者です。その御礼といっては何ですが、お嬢様にはこちらを、ご家族の皆様にはこちらをお持ちさせていただきました〟
こちらが呆気に取られているうちに、フィアナには一輪の赤い薔薇を、両親には菓子折りを、特上の笑みを添えて差し出すエリアス。菓子に至っては、お貴族さまですら入手困難であるという王室御用達の店のものを提げてきたのだから、本気度が違う。
お礼ひとつするために、どんなエゲツない手を使ったのだろうこの男は。そんな風にドン引きするフィアナをよそに、両親は突如現れた菓子とイケメンに骨抜きにされてしまった。