渚便り【完】
第一章
その笑顔に恋い焦がれた
「はい間瀬(ませ)の番」
クラスで委員長を務めている女子がやたら周囲を気にしながら小声で手渡してきたのは色紙。
中央には太字で“伊波(いなみ)なぎさ”と大きく書かれてあって、そこから集中線のようにメッセージが縦書きされている。
カラフルなペンで書かれた「元気でね」や「ずっと友達だよ」の文字に、俺はようやく実感するのだ。
数日前から流れていた伊波が転校するという噂は本当だったということを。
この寄せ書きは終業式の前日にやるお別れ会で渡すサプライズらしい。
去年の夏休み明けに親の仕事の都合でうちの中学に転入してしてきた伊波。
飾りっけの無い気さくな性格の伊波は転入早々クラスの中心的存在となっていた。
運動神経も抜群で、以前体育の授業ではクラス一の俊足の持ち主である作田(俺の友達だ)と張り合っていたくらいだ。
ちなみにサッカー技術のセンスも中々で、俺からボールを奪ったあの動きには本当に驚愕させられた記憶がある。
クラスで委員長を務めている女子がやたら周囲を気にしながら小声で手渡してきたのは色紙。
中央には太字で“伊波(いなみ)なぎさ”と大きく書かれてあって、そこから集中線のようにメッセージが縦書きされている。
カラフルなペンで書かれた「元気でね」や「ずっと友達だよ」の文字に、俺はようやく実感するのだ。
数日前から流れていた伊波が転校するという噂は本当だったということを。
この寄せ書きは終業式の前日にやるお別れ会で渡すサプライズらしい。
去年の夏休み明けに親の仕事の都合でうちの中学に転入してしてきた伊波。
飾りっけの無い気さくな性格の伊波は転入早々クラスの中心的存在となっていた。
運動神経も抜群で、以前体育の授業ではクラス一の俊足の持ち主である作田(俺の友達だ)と張り合っていたくらいだ。
ちなみにサッカー技術のセンスも中々で、俺からボールを奪ったあの動きには本当に驚愕させられた記憶がある。
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