渚便り【完】
「なぎさはどうしたい?」


だけど私が今の学校生活を謳歌していることを知っている両親は、移住を強制をしてくるつもりはないようだった。
親のこういう視野の広いところには本当に感謝したい。


「私はここに残りたい」


今の学校は楽しいし、入ったばかりのサッカー部も続けたいし、何よりアニキのそばにいたいから。
こんなことを言うのもなんだけど、両親と離れてもアニキが傍にいれば頑張れる自信があった。
血の繋がりなんてものより、私は単純に自分の感情に素直になりたかったのだ。

幸い祖父祖母の家に住ませてもらうことが叶うらしいので、私は沖縄に残ることを大前提として両親と話を進めた。
しかし後日、私に途方もないショックを与える出来事が起き、その話は覆ることになる。


「ただいまー」
「おかえりなぎさ。そうそう、代助くんから招待状来てるわよー?」
「え、なんの?」


いつも通り部活から帰宅した私に、夕食の準備をしていた母が言う。
アニキから招かれるような行事なんてあっただろうか?
またバーベキューでもするのかな?もしかしてサーフィンの講習とか?お誘いなんて久しぶりでワクワクするな。
しかし胸躍らす私の見当は大きく逸れていて、
< 34 / 110 >

この作品をシェア

pagetop