渚便り【完】
アニキの家族に友達、それから私のようにアニキにお世話になった子供達など、幅広い年齢層の出席者で席が埋まり、間もなくして式が始まった。
式場に設置された巨大スクリーンに映し出されたのは、今日の主役である二人の生い立ちや馴れ初めのムービー。
私の知らないアニキ。そして、その時初めて間近で見た、アニキの奥さんになる女性。
プロフィール動画を見る限り、その女性は美人で家庭的で、しかもサッカーが好きという、どこから見てもアニキに釣り合う魅力的な人だった。
私なんかと違って、胸を張ってアニキの隣にいれるような女性が相手だったことを知って、失望したと同時に、豪く納得させられてしまった。
「ねえなぎさ!アニキのとこ行って、おめでとうって言ってこようよ!」
「え……いや、私は……」
「ほら早く~」
アニキが高校のサッカー部に所属していた時のメンバーらしい、やたらテンションの高い人達の余興のお陰で会場がすっかり賑わってきた頃、待ってましたと言わんばかりに友達が席を立ったかと思いきや、有無を言わせず私の手を引いてきた。
できればずっと席で大人しくしていたかった私は、控えめに抵抗してみせたけど、すっかり楽しんでいる友達の強引さには勝てず、半ば強制的にアニキのもとに連れて行かれた。
式場に設置された巨大スクリーンに映し出されたのは、今日の主役である二人の生い立ちや馴れ初めのムービー。
私の知らないアニキ。そして、その時初めて間近で見た、アニキの奥さんになる女性。
プロフィール動画を見る限り、その女性は美人で家庭的で、しかもサッカーが好きという、どこから見てもアニキに釣り合う魅力的な人だった。
私なんかと違って、胸を張ってアニキの隣にいれるような女性が相手だったことを知って、失望したと同時に、豪く納得させられてしまった。
「ねえなぎさ!アニキのとこ行って、おめでとうって言ってこようよ!」
「え……いや、私は……」
「ほら早く~」
アニキが高校のサッカー部に所属していた時のメンバーらしい、やたらテンションの高い人達の余興のお陰で会場がすっかり賑わってきた頃、待ってましたと言わんばかりに友達が席を立ったかと思いきや、有無を言わせず私の手を引いてきた。
できればずっと席で大人しくしていたかった私は、控えめに抵抗してみせたけど、すっかり楽しんでいる友達の強引さには勝てず、半ば強制的にアニキのもとに連れて行かれた。