渚便り【完】
「おお、みんな!わざわざ来てくれてありがとな!」
白いタキシードを着たアニキはいつものラフな格好とは打って変わり、どこか凛としている表情はまるで別人に見える。
馬子に衣装とはこのことだ、と近くに座っていた親戚であろうおじさんが笑っていた。
いつもならカッコイイなと見惚れるはずなのに、今日はそんな心の余裕が無い。
太陽のような笑顔を向けてくれたアニキにちゃんとした反応ができない私は、どうしようもなく胸が締め付けられる。
アニキの隣に視線を移せば、キラキラ輝く宝石があしらわれた、純白のドレスを身に纏った奥さんが目に映った。
その姿があまりにも美しすぎて、途方もない敗北感に押し潰されそうになった。
「アニキ本当におめでとう!こんな綺麗な奥さんもらっちゃってさー」
「タキシード姿も似合ってるよ~」
友達がそんな言葉をかけている傍ら、私は戸惑いながら視線を泳がせていた。
みんなのようにお祝いの言葉がすんなり出てこない。当たり前だ。素直におめでたいだなんて思えてないのだから。
白いタキシードを着たアニキはいつものラフな格好とは打って変わり、どこか凛としている表情はまるで別人に見える。
馬子に衣装とはこのことだ、と近くに座っていた親戚であろうおじさんが笑っていた。
いつもならカッコイイなと見惚れるはずなのに、今日はそんな心の余裕が無い。
太陽のような笑顔を向けてくれたアニキにちゃんとした反応ができない私は、どうしようもなく胸が締め付けられる。
アニキの隣に視線を移せば、キラキラ輝く宝石があしらわれた、純白のドレスを身に纏った奥さんが目に映った。
その姿があまりにも美しすぎて、途方もない敗北感に押し潰されそうになった。
「アニキ本当におめでとう!こんな綺麗な奥さんもらっちゃってさー」
「タキシード姿も似合ってるよ~」
友達がそんな言葉をかけている傍ら、私は戸惑いながら視線を泳がせていた。
みんなのようにお祝いの言葉がすんなり出てこない。当たり前だ。素直におめでたいだなんて思えてないのだから。