渚便り【完】
「まかせてよ!絶対ゴール決めてやるから!」
「なぎさが同じチームだとマジ頼もしいよねー」
「あはは」
そんな俺の心境を知るはずもない伊波は、友人らに囲まれながら廊下から生き生きとした様子でやってきては楽しそうに笑っていた。
俺は伊波のこの笑顔が好きだった。
太陽のように眩しくて、みんなを照らしてくれる温かい笑顔。
本当はあんな月並みな言葉じゃなくて、もっと別に伝えたいことがあるはずなんだ。
「お、間瀬!」
「な、なんだよ」
気が付いたように俺の方へやってきた伊波は、机に手をついて身を乗り出してきた。
ったく、顔がちけーんだよ。スキンシップが激しいところもコイツの魅力なんだろうけど、異性に対してあんまり過剰なことすると勘違いされるっつの。
目のやり場に困った俺が俯きがちでいると、伊波は声を弾ませて言った。
「私次の体育がラストなんだよね。だから転校しちゃう前に間瀬とサッカー対決したいな!」
「……いいけど」
「よしきた!」
飛び上った伊波は「悪いけど負けないからねー!」と言いながら女子の輪に戻っていった。
――ラスト、か。その言葉に終業式まで日が無いことを再確認させられる。同時に自分の想いに胸が苦しくなった。
俺は笑顔だけでなくアイツそのものが好きだった。
こんなの流石に色紙に書けるはずがないけれど、それでも俺は伊波のことが好きなんだ。
この想いはきっと誰にも知られることのないまま、そのうち伊波は遠くに行ってしまうのだろう。
「なぎさが同じチームだとマジ頼もしいよねー」
「あはは」
そんな俺の心境を知るはずもない伊波は、友人らに囲まれながら廊下から生き生きとした様子でやってきては楽しそうに笑っていた。
俺は伊波のこの笑顔が好きだった。
太陽のように眩しくて、みんなを照らしてくれる温かい笑顔。
本当はあんな月並みな言葉じゃなくて、もっと別に伝えたいことがあるはずなんだ。
「お、間瀬!」
「な、なんだよ」
気が付いたように俺の方へやってきた伊波は、机に手をついて身を乗り出してきた。
ったく、顔がちけーんだよ。スキンシップが激しいところもコイツの魅力なんだろうけど、異性に対してあんまり過剰なことすると勘違いされるっつの。
目のやり場に困った俺が俯きがちでいると、伊波は声を弾ませて言った。
「私次の体育がラストなんだよね。だから転校しちゃう前に間瀬とサッカー対決したいな!」
「……いいけど」
「よしきた!」
飛び上った伊波は「悪いけど負けないからねー!」と言いながら女子の輪に戻っていった。
――ラスト、か。その言葉に終業式まで日が無いことを再確認させられる。同時に自分の想いに胸が苦しくなった。
俺は笑顔だけでなくアイツそのものが好きだった。
こんなの流石に色紙に書けるはずがないけれど、それでも俺は伊波のことが好きなんだ。
この想いはきっと誰にも知られることのないまま、そのうち伊波は遠くに行ってしまうのだろう。