渚便り【完】
「やっぱり私も東京行きたい!」


そう言った私に両親はどういう風の吹き回しかと言わんばかりに、ポカンと顔を見合わせている。
突然の心代わりに呆れてしまったのだろうか。
という不安はすぐに笑顔になった二人が掻き消してくれた。


「そうね。やっぱりその方が良いわ。それじゃなぎさも荷造りしないとね。学校の手続きもしておくわね」
「うん、ありがとう!」


いくら私の身勝手な要望であれ、やはり我が子を預けて移住することにはいくらか抵抗があったのだろう。
両親は私の心境の変化をあっさりと了承してくれた。

そうして逃げるように沖縄を出てきた。
これでとうぶん幸せそうなあの二人を見せつけられることもなくなる。
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