渚便り【完】



中学一年の冬に開催された球技大会でのことだ。
俺は出場競技を決める話し合いの時に居眠りをしていたせいで、勝手にバレーボールに出ることになっていた。しかも男女混合とかマジありえねぇ。
自業自得とは言えよりによってなんでバレーなんだ、と不平を訴えることなんてできるはずもなく、当日はやる気の無い顔で渋々コートに立っていた。

伸び悩んでいる身長のこともあってバスケよりはマシだと感じていたけど、せめてドッジボールが良かったな。
部活もしていて得意なサッカーは夏の球技大会にしか無いのもあって、冬の球技大会は全くと言っていいほど意欲が湧いてこなかった。

大会はトーナメント式となっていたのだが、初戦から元バレー部長がいるとかで優勝候補とされているチートチームの三年が相手だったから、俺のやる気は完全にログアウト。
一方的に点をとられる試合に、俺のチームの面々はみんな次第に動きが鈍くなってきていた。


「間瀬!」


よそ見していた俺の脳内にクラスメイトの声が響く。
慌てて前を見るとボールがこちら目掛けて飛んできていた。
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