渚便り【完】
無性に海へ行きたい衝動に駆られた。
最後に顔を合わせた日以来、俺が伊波と過ごしたあの場所に足を運ぶことはなかった。
怖かったのだ。もうあの場所に伊波がいない現実と向き合うのが。

でもいつまでも背を向けているわけにはいかない。
それに駄菓子屋のばあちゃんにまた来るって約束しちゃったしな。
そうだな、夏休みが終わる前にもう一度くらい行っておいて損はないかもしれない。得があるとも思えないけど。

二学期が始まる前に気持ちの整理しておかないと。いつまでも周囲に気遣ってもらうなんてダッセーし。
こんな態度ばっかとってたら友達失くしちまうし、気持ち切り替えていかねーとな。
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