渚便り【完】
第二章
指先でなぞる君の名前
棚の上にある壁に立て掛けられた色紙を手に取る。
これをもらってからもう三年になるのか。
ずっと飾っていたせいで薄らと黄ばみを帯びてきた色紙を眺めながら、しみじみとそう感じた。
同時にあの夏の出来事からそれほどの月日が経過してしまったことへの寂しさが込み上げてくる。
あっという間のようで、だけど三年という時間は成長期の子供を成長させるには長い時間だった。
だから当然あれから私の周囲の環境にもたくさんの変化があった。
だけど、なんでだろう。部分的に時計の針が止まってしまったかのような感情が残っているのは。
「間瀬、元気かな……」
少し形の崩れた書体で色紙に書かれた彼の名前を指先でなぞりながら静かに呟く。
なんだか物凄く懐かしい気持ちになって、当時の思い出が鮮明に脳内で再生されていった。
非情な時の流れが私の想いを置いてけぼりにするのは昔から。
不可抗力で叶わない恋ばかりを突き付けるだけ突き付けたらあとはそのまま、その恋心が薄れていくのを黙って見守るだけ。
だけど、そんな私にも最近やっと彼氏というものができた。
高校でクラスが一緒になってからサッカーを通して親しくなった男子。
あとからアニキの友達の弟であることも知ってますます仲が深まり、告白されたのがついこの間のことだ。
彼はクラス内でも良いムードメーカー的存在で、何より心の広いところは一緒にいて気楽なことこの上ない。
だから私は彼と過ごす時間をとても楽しいと感じていたし、充実しているとも思えた。
これをもらってからもう三年になるのか。
ずっと飾っていたせいで薄らと黄ばみを帯びてきた色紙を眺めながら、しみじみとそう感じた。
同時にあの夏の出来事からそれほどの月日が経過してしまったことへの寂しさが込み上げてくる。
あっという間のようで、だけど三年という時間は成長期の子供を成長させるには長い時間だった。
だから当然あれから私の周囲の環境にもたくさんの変化があった。
だけど、なんでだろう。部分的に時計の針が止まってしまったかのような感情が残っているのは。
「間瀬、元気かな……」
少し形の崩れた書体で色紙に書かれた彼の名前を指先でなぞりながら静かに呟く。
なんだか物凄く懐かしい気持ちになって、当時の思い出が鮮明に脳内で再生されていった。
非情な時の流れが私の想いを置いてけぼりにするのは昔から。
不可抗力で叶わない恋ばかりを突き付けるだけ突き付けたらあとはそのまま、その恋心が薄れていくのを黙って見守るだけ。
だけど、そんな私にも最近やっと彼氏というものができた。
高校でクラスが一緒になってからサッカーを通して親しくなった男子。
あとからアニキの友達の弟であることも知ってますます仲が深まり、告白されたのがついこの間のことだ。
彼はクラス内でも良いムードメーカー的存在で、何より心の広いところは一緒にいて気楽なことこの上ない。
だから私は彼と過ごす時間をとても楽しいと感じていたし、充実しているとも思えた。