渚便り【完】
ただ、彼の隣を歩く私は時たま酷い罪悪感に蝕まれていた。
付き合ったことに後悔しているわけではないけど、あろうことか私は彼に嘘をついていたからだ。
表面上恋人同士という関係にはなっているものの、私の愛するという感情は彼には向けられていない。

私はなんて身勝手な女なのだろう。
他の男に想いを寄せておきながら彼の想いに応え、言わば付き合っているうちに好きになるかもしれないだなんて軽い気持ちで今の関係を受け入れたのだ。
けれど、こんな塞ぎ込んだ思いをしてまで彼との交際を続けているのは、そうでもしないと前に進めない気がしたから。
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