渚便り【完】
ねえ間瀬。
私ね、自分でもおかしくて笑っちゃうけど、実は今ね、間瀬のことが好きなんだよ。
あの時の私はアニキをずっと好きでいることで、間瀬に抱いた恋心をずっと誤魔化していたんだ。
せっかく好きになっても、どうせ離れ離れになってしまうことがわかっていたから。
だけど私馬鹿だから、アニキへの想いと決別するために手紙を呼んだあの日、あろうことか間瀬とお別れする日に間瀬のことやっぱり一人の男の子として好きだったんだって、自分の気持ちを受け入れたの。
馬鹿だよね。お別れする日にそんな気持ちになっちゃうなんて。

おかしいよね。もう三年以上も会っていない、それどころか連絡もとっていない相手に想いを馳せているだなんてさ。
離れてしまった今となっては、もう赤の他人と言われても過言じゃないのに。
なのに私の想いは会えない時間に比例して募るばかりなんだ。

だからあの時、沖縄に帰る当日に見つけた手紙に好きって返せなかったこと、ちょっとだけ悔やんでるんだ。
まさか間瀬が私のこと好きだなんて予想してなかったから、すごく嬉しかった。だけど、その想いに応えるのは自分の首を絞めるだってわかってもいた。
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