渚便り【完】
私にしては豪く現実的な考えであったけれど、この判断は強ち間違いではないと確信していた。
だからあの一年間、間瀬への想いから目を逸らすかのようにアニキを想い続けた。
だからこの前彼からされた告白をすんなりと受け入れた。
私が弱虫だから。臆病だから。結局自分が可愛くて、自分が傷付くことから逃げているんだ。
こんな時、海を越えた隔たりなんて「水平線の彼方に吹っ飛ばせばへっちゃら」だと笑い飛ばせる勇気がほしかった。
周りのみんなは私のことを勘違いしているけど、私は決して強い心を持った人間ではない。
いつも笑顔で大らかに振舞いながら馴染みやすい雰囲気を漂わせてはいるけれど、本当は泣き虫で根性無しで強がっているだけなんだよ。
仮にもし間瀬と進展があった時、得意の「なんくるないさ」を呪文のように唱えて物事を前向きに考えることができたのならば、それはどんなに報われたことだろうか。
けれどよく考えてみたら、私がそこまでポジティブな思考の持ち主だった場合、アニキが結婚したあとに逃げるような真似をしなかっただろうから、はなから間瀬に出会うことも無かったんじゃないかな。
そう考えた途端、どうしようもないやるせなさが込み上げてきて苦し紛れに笑っていると、不意にテーブルの上に置いてある携帯が震えた。
アニキからの連絡だ。
だからあの一年間、間瀬への想いから目を逸らすかのようにアニキを想い続けた。
だからこの前彼からされた告白をすんなりと受け入れた。
私が弱虫だから。臆病だから。結局自分が可愛くて、自分が傷付くことから逃げているんだ。
こんな時、海を越えた隔たりなんて「水平線の彼方に吹っ飛ばせばへっちゃら」だと笑い飛ばせる勇気がほしかった。
周りのみんなは私のことを勘違いしているけど、私は決して強い心を持った人間ではない。
いつも笑顔で大らかに振舞いながら馴染みやすい雰囲気を漂わせてはいるけれど、本当は泣き虫で根性無しで強がっているだけなんだよ。
仮にもし間瀬と進展があった時、得意の「なんくるないさ」を呪文のように唱えて物事を前向きに考えることができたのならば、それはどんなに報われたことだろうか。
けれどよく考えてみたら、私がそこまでポジティブな思考の持ち主だった場合、アニキが結婚したあとに逃げるような真似をしなかっただろうから、はなから間瀬に出会うことも無かったんじゃないかな。
そう考えた途端、どうしようもないやるせなさが込み上げてきて苦し紛れに笑っていると、不意にテーブルの上に置いてある携帯が震えた。
アニキからの連絡だ。