渚便り【完】
「おお、やっぱり。懐かしいな」
「でしょ?それ私の宝物なんだー」


カラフルなペンで書かれた文字は少々色あせてしまっているが、それはあの夏転校した伊波にクラスのみんなから送った色紙だった。

うわ、俺の字汚すぎるだろ。今も結構酷いけど、中学の頃とかミミズの這ったような文字だったもんなぁ。
それでよくテストとかノート提出したあと先生に注意されたっけ。
なんてことを思い出していたら、俺の隣に立つ伊波に「間瀬って字汚いよね」と指摘され、苦笑いして誤魔化すしかなかった。

ふと視線を横にずらせば、コルクボードが立て掛けられてあって、さっき話してくれたサッカーチームや学校生活での写真など、伊波が色んな人と笑っている写真がたくさん貼られていた。
俺の知らないところでもこうして伊波は笑い続けていたのかと思うと、安心する反面悔しくなった。
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