渚便り【完】
それから俺は貪るように伊波を抱いた。
服を脱がせて体の至るところを愛撫して、頃合いを見計らって取り出した欲望に、財布に入れて持ち歩いていた避妊具をつけてやる。
しかし湿り気を帯びた伊波のナカに挿れた時、違和感のあるキツさにまさかと思い視線を下げれば、案の定シーツには赤い染みができていた。
ハッとした俺が恐る恐る訊ねたら、


「お前、まさか……?」
「ん……初めてを間瀬にあげられて良かった……」


額に汗を滲ませながら、紅潮した顔でやんわりと笑った伊波が愛おしくて堪らなくなる。
火照った体を強く抱き締め、またキスをして、何度も腰を突き付け、プラトニックラブとは程遠い情事ではあったが、俺は幸せの中心に佇んでいた。

なんだこれ、好きな人とのセックスってこんなに気持ちが良いのか。
体の性感帯全てが刺激されて、それでいて隙間なく心が満たされていく感覚がある。
ずっと求めていたものが手に入ったのだから当然のことだろう。
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