勇者がうちにやってきた▼【完】
ちよこさんを心配する気持ちは親分と同じだし、今頃ちよこさんが大変な目に遭っているかもしれないと考えたら、のうのうと帰宅できるわけがない。
ふくらはぎを揉み解して、歩みを再開しようとした時だ。
ギン太がカラオケ店の入り口に近付くなりワンと吠えた。1回、2回、3回と、まるで何かを知らせるかのように。


「もしかしてここにいるのか!?」


親分の問いに「そうだよ」と言わんばかりにまた吠えるギン太。


「よし、突撃するぜシスター!」
「え、ちょっと待ってよ親分!」


そのシスターってのやめてよ。なんて突っ込む間もなく、カラオケに入店して行った親分の後を追う。
賢いギン太は自分がここに入ってはいけないと理解しているのか、入口でお座りしていた。
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