勇者がうちにやってきた▼【完】

「この人ケンジさんって言うんだけどねぇ、彼女さんがいるんだってぇ」
「カノピッピいるのに他の女に手出すとかサイテーじゃねえか！」
「だから親分、落ち着いて最後まで話を聞こうよ」


立ち上がった親分の肩を掴んで座らせる。
もう……“でたくえ”内では仮にも盗賊なだけあって血の気が荒いんだから。


「その彼女さんが小百合（さゆり）さんって名前でねぇ」
「小百合？どこかで聞いたことある名前だな」


一生懸命思い出そうとしている親分にケンジさんが口を開く。


「そうだよ。お前に貢いでる小百合だよ」
「ああ、小百合ちゃんか！この前はめっちゃ高い腕時計くれたあの小百合ちゃん」


どうやらケンジさんの彼女である小百合さんは、ホストクラブで親分に貢いでいるそうだ。
その問題とこの状況と、どう結び付くのだろうか。