勇者がうちにやってきた▼【完】
「お前がホストなんかやるから、小百合が隠れて貢ぎまくってるんじゃねえか!一緒に結婚資金を貯めようって約束してたのに!」


涙目になって声を上げるケンジさんに開いた口が塞がらなくなる。
確かに不憫だけど、それはその小百合さんに非があるわけだし、そんなこと言われても責任転嫁にも程があるでしょうよ。


「だから、小百合が夢中になってる№1ホストの親分とかいうやつをストーカーして徹底的に調べることにしたんだよ。そしたら送迎してやってる女がいることが分かってな」


親分のことをストーカーって……いつしか親分とちよこさんのプレゼントを買いに出かけた時に視線を感じたことがあったけど、まさか視線の正体ってもしかしてこの人だったの?
私はてっきりあのいじめっこギャルか、現在のクラスメイトだとばかり思っていたけど。
そもそも私に視線を寄越していたのも、最初から私自身が目的だったわけじゃなくて、親分と一緒にいた女だったからってこと?

次第に明かされていく謎に思考が置いてけぼりになりそうだ。
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