勇者がうちにやってきた▼【完】
「そういうわけでねぇ、ケンジさんがあまりにも可哀想だからぁ、アタイで良ければって思ってちょっとだけ話を聞いてあげてたのぉ」


そしてちよこさんの心の広さときたら、まるで聖母か女神のようだ。
きっと本来ケンジさんは復讐のために、親分の大切な存在であるちよこさんを寝取るつもりだったのだろう。
しかしそんなケンジさんの恐ろしい計画を聞いて、ちよこさんは逃げるわけでもなく叱るわけでもなく、同情してあげていたわけだ。
つまりこれはちよこさんの寛大さもあってこその事件になったわけか。

でも幸い怪我もないみたいだし、ここで上手いこと和解して一件落着かと思いきや、


「歯ァくいしばれぇぇえっ!」


親分がケンジさんの顔にグーパンチをぶち込んだ。
あーあ、始まってしまった。
元の元凶である小百合さんとやらは不在なんだし、冷静に話し合いして解散で良かっただろうに。ほんと短気は面倒くさい。
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