夜のすべてでずっとすき
「──……無理、だよ。速水」
ぜんぶおそいよ、速水。
「はやみぃ……」
あ、だめだ、これは泣く。
泣かないって決めただろ、泣くなよ。
こんなきつい言葉、速水はつかったことがない。言葉づかいが荒いのはわたしのほうで、それなのに速水は、こんなわたしをかわいいと表現していた。どうかしてるよ。そのまま、どうもしない日々であればよかったのに。
「うわ! 泣かないで泣かないで、責めたかったわけじゃないんだ」
「べつに……なんもない」
「ほっ、ほら! いつものコンビニついた! 買っといで」
星が綺麗な田舎からだいぶういている、照明の主張が激しいコンビニ。
わたしと速水の、思い出の、コンビニ。
店員さんが眠たそうにしていたら、わたしたちも眠いねー、って話をした。
少年漫画雑誌の女優さんの写真に立ち止まった速水を、引きずってレジまで連れて行った。
そんな、たわいない、どこにでもいる、ただの高校生ふたり。
いつからだろう。わたしの高校生という時間が止まったのは。
いつなんてわかりきっていて、でもそれのせいにはどうしたってしたくなくて、しきれない。