【完】黒薔薇の渇愛
気づけばコンビニの駐車場に停められていた、桜木の黒いバイクの前まで来ていた。
有無を言わせず、私にヘルメットを被せると。
満足気な桜木は私にバイクの後ろに乗るよう、シートを叩く。
「いっ、……行かないよ私!!」
やっと出せた声は、被っているヘルメットのせいで声がこもってしまう。
「なーんで?俺とハネムーンしたくない?」
「ハネ!??それ使い方間違ってるからっ!!」
「うるさいねー天音ちゃんは。
ちっとも言うこと聞きやしない」
そもそも言うこと聞く聞かない以前に
おかしいでしょこの状況。
不良とは見た目も性格も真逆な私が
族の集会なんで場違いにもほどがあるでしょ!
「いいからいいから。
真面目ちゃんもたまには息抜きが必要でしょ」
「……息抜きどころか、怖くて息ができなさそうなんですが」
「ははー、どうでもいいけど。ちょっと失礼」
「ひっ……!?」