【完】黒薔薇の渇愛





いきなり桜木に脇腹を掴まれ、ビクンと過剰な反応をしてしまう。


地についていた足がふわっと浮いて、持ち上げられていることに気づいた時にはもう遅い。


無理矢理バイクの後ろに乗せられていた。




「おっ、おろして!!」


「やだよー、せっかく捕まえたのに。
 もう離さないよ。」


「……っ?!」


色々と誤解のある言い方するよね、今日の桜木って。


だから無駄に顔を熱くさせてしまう。


桜木にそういうつもりないことは知ってても


やっぱ恥ずかしいもんは恥ずかしいよ、そんな甘ったるい言葉。



「天音ちゃんは今日から俺のお人形さんだから。
 飽きるまで俺の相手してよねー」



桜木は最後に笑いを付け足し、バイクのエンジン音が鳴り出した。


「おっ……おろして~~!!」と、泣き叫びながらも、振り落とされるのが怖くて
しっかりと桜木のお腹に腕を回したのは言うまでもない……。





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